牧ヘルスケアグループ牧整形外科病院

疾患情報

2020.07.21 肩関節外科

腱板断裂【肩関節外科】

加齢および繰り返す機械刺激、外傷を原因として腱板の腱線維が断裂した状態です。40歳以上の男性で右肩に好発、発症年齢のピークは60歳加齢変化で断裂を生じます。60歳で4分の1が、70歳で半数が断裂との報告もあります。断裂しても症状がない人もいますが、夜間痛、動作時の痛みなど、症状がみられたら治療が必要になります。

 

五十肩

50歳頃に肩を中心に痛みが生じ、時に腕まで広がりやがて自然に治っていく状態です。肩が痛いのが全て五十肩ではありません。中には関節鏡が必要な場合もあります。長年、投薬や注射で改善がない場合は、腱板断裂等があるかもしれません。

 

MRIでの腱板断裂の大きさの分類


小から大断裂までは再建を考慮し、MRIのsagittalを確認します。広範囲断裂は70歳未満ならASCR(大腿筋膜を使用)、70歳以上ならリバース人工肩関節の適応となります。

 

腱板は使っていないと脂肪に変わると言われています


Goutallier分類:棘上筋の脂肪変性の程度をみます。
Stage0:脂肪変性なし
Stage1:わずかに脂肪変性
Stage2:筋肉成分>脂肪成分
Stage3:筋肉成分=脂肪成分
Stage4:筋肉成分<脂肪成分

Stage0~2までは腱板再建を考慮し、Stage3と4は再建しても成績悪く再断裂がおきやすいとの報告もあります。

 

腱板は断裂すると脂肪変性をきたす

腱板は断裂すると脂肪変性をきたすので早期の手術が望ましいです。当院でも1~3か月の保存療法で改善がなければ手術を勧めています。

脂肪変性は筋力低下、可動域制限につながる手術をしても棘下筋まで脂肪変性をきたすと改善しない。棘上筋は改善することがあるが脂肪変性をきたす前の手術が望ましい。(Daniel Goutallier,1994)

肩甲下筋上縁と上腕二頭筋長頭に関連した棘上筋部分断裂は肩の痛みにつながり、いずれ棘上筋完全断裂に移行するので早期の修復を推奨する。(Do-Young Kim,2012)

 

当院での腱板断裂の治療

 

当院での腱板断裂の手術治療

肩関節鏡手術とは

φ4mmの内視鏡を関節内に挿入、大量の水(アルスロマチック)を流しながら手術します。
1:三角筋を温存できます。
2:5mmほどの傷が4-6か所程度、出血が少ない、侵襲の少ない手術。
3:モニターを見ながら術野を共有でき安全。
4:常に洗浄、感染の可能性が非常に低い。


鏡視下腱板縫合術

 

手術の実際

手術時間:約1時間~3時間
消毒、麻酔、レントゲン等で更に1時間程手術室に滞在します。

①滑膜切除:掃除、洗浄
②肩峰下除圧:腱板の上の骨を削って腱板の通り道をつくります。
③腱板縫合:Suture-bridge法といいます。
④関節唇修復:必要に応じて骨頭を安定させる関節唇を修復します。
⑤上腕二頭筋腱長頭(LHB)固定もしくは切除:必要に応じてLHBの処置を行います。

①滑膜切除、②肩峰下除圧
カニューラを設置してここから器具の出し入れをします。

③腱板縫合
U字型の中断裂
上腕骨頭(大結節Footprint)が露出してしまっている。

④関節唇修復
必要に応じて、上腕骨頭を肩甲骨関節窩に安定させる関節唇を修復します。

⑤上腕二頭筋長頭筋腱(LHB)の腱固定
術後1週してから肘を動かし始めます。最初のうちは無理に肘を伸ばし過ぎるのは禁止です。

腱板縫合(Suture-bridge法)のシェーマ

内側アンカー設置

 

吸収性アンカー(直径4.5から5.5mm)

 

器具を使用して腱板に糸をかける

 

外側アンカー設置

 

Suture-bridge完成
露出していた骨頭は見えなくなり、腱板で覆われています。

術後

術後は3週間ウルトラスリングを装着して外転位をキープします(わきを閉じたらいけません)。

外転位を保つ理由は、手術中に軽度外転位で腱板を縫合しているからです。

 

腱板縫合後の術後リハビリ

・手術翌日~3週:他動運動(セラピストによる)開始、肘関節、手関節、手指も積極的に動かします。
・術後数日~1週間:シャワー練習、着替えの練習を終えて退院。
・退院後から外来リハビリ開始。
・3週で装具の枕を外します それからは腋締めOKです。
・6週:装具完全にオフ、自動運動(自分で動かす)開始。
・術後3~5ヶ月で外来リハビリ終了。
・重いものを持ったり運動したりは術後4~6ヶ月してからです。

 

術後半年で再建腱板の評価をMRIで行います

一般にType4と5は再断裂ありと考えますが、再断裂していても臨床所見は問題ないことが多いです。

菅谷分類
Type1:腱板に厚み、一様に低信号。
Type2:腱板に厚み、一部に高信号混在。
Type3:連続性は保たれているが厚みがない。
Type4:一部のスライスで連続性がない。
Type5:連続性の途絶部分が大きい。

 

術後成績

当院で肩関節鏡を受けられた方は術前、術後3カ月、6か月、1年で肩スコア(JOAスコア)を判定しています。下のグラフは術前後の肩スコアの比較です。

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